脳内ニューヨーク

Synecdoche, New York  2008年:アメリカ
synecdoche_new_york 

フィリップ・シーモア・ホフマン演じる主人公のケイデンはそこそこ評価もされている劇作家なのだけど、家庭生活と創作人生に行き詰まっている。画家の奥さんには捨てられ、子供にも会えず、病気でボロボロ。
そんなどん底中にもらった賞の賞金で、巨大な倉庫にもうひとつのニューヨークを作り始めるのでした。

「マルコヴィッチの穴」「エターナル・サンシャイン」「アダプテーション」の脚本家、チャーリー・カウフマンの初監督作品です。地元の映画館でやってくれるっていうので、小雪が舞う中すっとんでいったんですが…重かったですわorz
ポスターのデザインなんかすごくポップだし、マルコヴィッチは笑えたし、エターナル〜は救いがあったんで、ちょっと油断してたかも。
あ、「アダプテーション」はまだ観てません(どこかに録画されて埋もれてる)。 

特に倉庫に巨大なセットを組み出す中盤からは劇中劇中劇?みたいになって、どっちがどっちだか混乱しまくり。そもそも冒頭から現実感のないシーンが多くて、どれが現実だか把握しきれないのですよ。でもストーリーは時系列なのね(たぶん)。
ケイデンの主観と客観が入れ子になりまくって、自意識が向かい合わせの鏡みたいにどこまでもつづいていく様な狂気を延々と見せられます。
苦悩とエゴ、創作と逃避、孤独と死。
後半、客観の権化みたいなサミーが出てきて、創作をそこまで自虐的に解釈するか…って思って凹んだ。気持ち的には分からなくはないけど、笑えねー!あれ、もしかして笑うとこなのかな…?
あと彼の子供オリーブも、たぶん創作の象徴だよね。辛過ぎる。
それにケイデンってほんと情けなくて。そこまで自虐的に自分を見てるわりに何度も同じ事繰り返すんですよ。リアルではあるけど。
終盤近くの葬式(芝居)で神父の説教が唐突だけどインパクト大。いっこはなれた席に座ってた男の人、泣いてたもん。でも救いにはならなかったなあ。
だけど辛かったとはいえ、面白かったです。人には勧めづらい無限地獄みたいな映画ではありますが。 

ケイデンの助手をするヘイゼルをサマンサ・モートン が演じてるせいなのなんなのか、「コントロール」を思い出した。あっちはイアン・カーティス(JOY DIVISION)の自伝映画だからだいぶ違うんだけど、絶望の種類か近い気がした。

>> 脳内ニューヨークOfficial Site

Posted: 2月 13th, 2010 under 映画&ドラマ.
Tags:

Write a comment