モールス

Let Me In:2010年 アメリカ
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郊外の団地に母親と2人で暮らす12歳のいじめられっこオーウェン。彼は冬のある日、となりの部屋に1人の少女アビーと父親と思われる男性が越してくるのを見る。中庭のジャングルジムでアビーとオーウェンは知り合い、アビーに惹かれていったオーウェンは壁を通してモールス信号で秘密のやりとりをするようになる。
彼らは世界から隔絶された2人だけの絆を強めていくのだが、街では奇妙な猟奇殺人が起きていた。
アビーにクロエ・グレース・モレッツ、オーウェンにコディ・スミット=マクフィー。監督はマット・リーヴス。

オリジナル「ぼくのエリ 200歳の少女」の存在は知ってはいましたが(未見)、ほぼ前情報無しに観に行って
「ひゃああああこれホラーだったの…!?」
とビビる始末。そしてとても悲しいストーリーでした。
吸血鬼ものに普段からあまり魅力を感じないもんで「インタビュー・ウィズ・バンパイア」くらいしかみた事がないんですよね。
そしてこの映画も設定が80年代初期(正確には83年)。TVでレーガン大統領の演説「悪の帝国」が流れ、ドラッグストアの店員はボーイ・ジョージのコスプレ、手にはルービックキューブ。
パンフレットには、映画冒頭で流れるレーガンの「アメリカこそ正義!」な演説に意味があり、今の「どうしてこうなった」的なアメリカを自虐的に描いている、というような事が書かれていました。
先日「アザー・ガイズ〜俺たち踊るハイパー刑事」をみたんですけど、意外な事にこっちもマッチョ批判の話でした。本当にこういう時代なんだなあ…としみじみしてしまいます。

オーウェンが世界にひとりぼっちだと思っても当然だと思えるヘビーないじめと離婚協議中という気を使う家庭環境。そこへひとりぼっち感バリバリのアビーが現れて仲良くなってしまったら…しかも自分を守ってくれたりしたら…。
やっぱり絶望的な今の世界を捨ててバンパイアの彼女を選んでしまう気がする。
アビーもオーウェンを喜ばせる為に食べられないものを食べてみちゃったり、許可がないと入れない部屋にはいってみて死にかけたりと(バンパイアが部屋に入るには許可が必要)、かなり無理してがんばってるのも切ない。
アビーと一緒にいた男性は後半で父親ではないと分かるのだけど、彼はアビーを守るためだけに生きてきて、いつでも自害できる用意をして出かけて行く人生だった。最後は自分自身までも与える彼。それはもしかしたらオーウェンの未来かもしれないんだよね…。

アビーがバンパイアだと知ったオーウェンが父親に電話をして、
「この世に悪は存在するの?」
と泣きながら尋ねるのはキリスト教的だなあと思いました。西洋ではバンパイア=悪なんですよね。
原題の”Let Me In”を考えると重い。
オリジナルや原作も気になっているのですが、個人的に虐待系の描写があるとみれない&読めないので困っています。うーんどうしたものか。
それと、やっぱり”TIME”はいい曲!カルチャー・クラブで一番好きです。

>> モールス Official Site

Posted: 9月 7th, 2011 under 映画&ドラマ.
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